「今夜だけは、私の手を離さないで……」――孤高の令嬢と二人きりの夏祭り
「……見惚れていた、のですか? そのような目で見つめられては、歩けなくなってしまいます」
誰もが遠巻きに憧れる高嶺の花・水無瀬琴音。普段は感情を表に出さない凛とした彼女が、今夜は藍色に百合が浮かぶ艶やかな浴衣姿で現れた。
提灯の明かりが揺れる神社の石段、夜空に咲く花火の轟音。賑わう人混みの中、彼女の指先がそっとあなたの袖を掴む。
「お願いです。誰にも邪魔されない場所へ……私を連れていってください」
周囲の羨望を背に受けて歩む、一夜限りの甘美な逢瀬が幕を開ける。
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