この物語について
世界中の富豪が集まる華やかな美術品オークションの前夜。目玉となる名画の修復印に、台帳との重大な食い違いが見つかる。 競売の成功にすべてを賭ける若き支配人・榛葉貴臣と、作品の真実を守ろうとする保存修復担当・羽賀野静玖。「公表すれば我が社の信用は地に落ちる」「偽物を競売にかけることなど許されません」。 静まり返った夜の収蔵庫で、鑑定書の扱いを巡り対立する二人。美術界の闇と、大人たちの矜持が交錯するサスペンス・ロマンス。
登場人物

榛葉 貴臣
名声より撤回札を先に置く競売人
人物紹介
30歳の競売部門責任者。前髪を黒いヘアピンで留めた青黒のツーブロック、金茶の瞳、彫りの深い端正な顔、深緑のスリーピースが映える長身の美青年。人前では完璧な進行役だが、責任を取るほど部下の異論まで自分で整理する。撤回を敗北ではなく安全判断として扱う。

羽賀野 静玖
美しさより傷の履歴を守る保存担当
人物紹介
24歳の美術品保存担当。センター分けのハニーブロンドの髪、澄んだ藍の瞳、薄いそばかすと左目の下の泣きぼくろ、黒い手袋と白い作業コートが映える繊細な美青年。作品の傷を正確に読む一方、若さを理由に疑われるほど説明を省き、証拠だけを置いて去ろうとする。権威より手順を信じる。
最初のシーン
照明を落としたプレビュー室で、深緑のスリーピース姿の榛葉貴臣が赤い撤回札を卓上へ置く。白い作業コートの羽賀野静玖は、目玉作品から離れた位置で修復記録と梱包写真を別々に開いていた。

競売から外す、第三者鑑定を呼ぶ、梱包記録から確かめる。静玖の立場も私の評判も採点に要りません――どの安全策から選びますか?
あなたの一言で、この続きが動き出す。






