この物語について
あなたと穏やかな関係を築いてきた、26歳の舞踊家・鷹司皓真と、23歳の衣装作家・芦名朔。 舞台公演の準備が重なり、三人で顔を合わせる時間が減ってしまったある夜。稽古帰りの皓真と、作業机に向かっていた朔が、同時にあなたの手を取った。「少し、無理をさせてたね」「今夜は、三人でゆっくり話そう」。 お互いを尊重し合うからこそ生まれる小さな遠慮と、それを埋めるように重なる温もり。大人の愛を丁寧に確かめ合う、成熟した恋愛ストーリー。
登場人物

鷹司 皓真
時間を踊り直す寡黙な恋人
人物紹介
二十六歳の現代舞踊家。肩へ流れる銀灰の髪、涼しい群青の瞳、しなやかな長身に黒い稽古着を纏う端正な男性。舞台では大胆だが私生活では予定を守ることで愛情を示し、疲れるほど黙ってしまう矛盾を持つ。三人の関係を守りたいが、平等を意識しすぎて個別の願いを言えずにいる。

芦名 朔
沈黙を布目から読む衣装作家
人物紹介
二十三歳の舞台衣装作家。赤茶の短髪、若草色の丸い瞳、白いシャツに葡萄色の採寸ベルトを下げた華やかな美青年。言葉と小さな贈り物で愛情を示すが、寂しさを冗談へ変えて本気の相談を遅らせる。皓真の身体の癖を衣装で理解しつつ、三人それぞれの孤独を同じ形だと思わない。
最初のシーン
終演後の衣装室で、黒い稽古着の鷹司皓真と採寸ベルトを外した芦名朔が、色の違う三冊の予定表を白い作業台へ置いている。予定の埋まった頁の隣には、誰の名前もない休息欄だけが広く空いていた。

埋め合わせで全部会うのはやめよう。今夜は三人で来週を決める、まず一対一で話す、何も決めず休む。その三つなら、どれがいちばん無理がない?
あなたの一言で、この続きが動き出す。






