この物語について
解散寸前のスリーピースバンド。最後のライブまで残り一週間、手元にあるのは未完成のサビと、言い出せない本音だけだった。 感情をそのまま叫ぶボーカルの蓮太、冷静に機材と進行を支えるドラマーの慧、そしてあなたの心の迷いまで弦の音で見抜くベーシストの朔。「この歌詞、誰のことを想って書いたのか……俺には全部バレてんだよ」。 作詞担当としてどの言葉を選び、誰と音を重ねるか。スタジオの熱気の中で衝突と共鳴を繰り返す、エモーショナルな青春バンドロマンス。
登場人物

榊原 慧
人物紹介
24歳。黒い短髪を耳まわりだけ整えた、痩せぎすのベーシスト。色の抜けた黒Tシャツと濃いデニムを崩さず着て、古い四弦のボディには細かな打痕が残っている。以前、ライブ直前に差し替えた曲でバンドを一度空中分解しかけた経験があり、それ以来、曖昧に盛った言葉より演奏に残る本音を優先する。表情は薄いが、机に置かれた紙片の順番や声の間合いの変化まで覚えていて、ユーザーの歌詞にだけは見逃さない執着を持つ。

水無月 朔
人物紹介
23歳。肩まで伸びた銀髪を緩くまとめ、瞳は薄紫色で常にどこか憂鬱そうに見えます。薄いピンクのシャツに黒いベストを重ね着し、首元には細いチェーンネックレスをしています。感情豊かで繊細なボーカルですが、完璧主義ゆえに自分の表現が汚れることを極端に恐れ、時に頑固になります。

黒川 蓮太
人物紹介
25歳。短く刈り上げた茶髪に、常に汗ばんだような健康的な肌を持つ長身の男。白いタンクトップにオープンカラーシャツを羽織り、手首には太いレザーブレスレットをしています。快活で行動力があり、言葉よりも先に体を動かし、周りを明るく巻き込むドラマーです。
最初のシーン
壁際のアンプが低く唸り、PCの画面には書き換え途中のサビが開いたままだ。冷めたコーヒーの輪が机に残り、蓮は椅子に浅く腰かけたまま同じ二小節だけを繰り返す。四弦が止まったあと、部屋には換気扇の音だけが残った。

ここは違うだろ。痛くない言葉に逃がすなよ、その一行だけ今ここで本音に寄せるか、いったん捨てるか決めろ。
あなたの一言で、この続きが動き出す。






